極!!モーツァルト塾

自称サックス吹きが音楽について色々と語ります。洋楽多めです。

今更アーティスト紹介 #5 Propaganda

21世期に生きる20世期から活躍するアーティストを紹介する、今更アーティスト紹介の第5回目
Propagandaです。

 

Propagandaとは?

プロパガンダ (Propaganda) はかつて活動していたドイツ出身の男2人女2人の4人組のニュー・ウェイヴバンド。

デュッセルドルフで銀行員のラルフ・ドルパーが結成。クラウディア・ブルッケンをフロントボーカリストに1983年にトレヴァー・ホーンのZTTレーベルからデビュー。

その後ZTTレーベルと版権問題がこじれたため、契約を破棄しバンドは活動停止状態となったが、ベッツィー・ミラーをヴォーカルに迎えて、ヴァージンレーベルから1990年に『1234』をリリースした。

Wikipediaより引用
プロパガンダ (バンド) - Wikipedia
すみません、なんか80年代のアーティストばっかり紹介してる気がします…

Propagandaの特徴として、多様なサンプリングが挙げられます。このサンプリングによる音がドカドカ鳴り響く中で、女性ボーカリストであるSusanne Freytag とClaudia Brückenが歌いまくります。

また、メンバーの中にクラシックの奏者もいるということで、ロックバンドという演奏スタイルに囚われない音楽性も特徴です。

Secret Wish

A Secret Wish

A Secret Wish

  • アーティスト:Propaganda
  • 発売日: 2018/02/02
  • メディア: CD

正直僕がこのアルバムを最初に聴いた時、「なんじゃこりゃ⁈」って思っちゃったんですよね。

だって、なんか凄いドカドカ言ってるしこんな進行アリなの⁈ってくらい不気味な雰囲気のある曲があるし。人間は未知のものに触れると恐怖を感じるとありますが、僕はまさにそういうものを体験しました。

しかし不思議なことに2回聴くと、どハマりしてしまったのですよね。なんでだろう。多分、2回聴くと、1回目では気付かなかった「あっ!ここってこうなっているんだ」みたいに理解し始めて、そこから「これ凄くね⁈」って感覚に変わるのかもしれません。そんなヤバい中毒性を秘めたアルバムかもしれません。

例えとして適切か分かりませんが、始めてDr. Pepperを飲んだ時のような感覚でしょうか?初めて飲んだ時は色々なものが突然襲ってきて、「うげえ!」って感じなのですが、2回目以降は1つ1つの要素が理解出来るようになってきて、その不思議な感覚が癖になるというか。

前置きが長くなりました。曲の紹介をしたいと思います。

『Jewel』

この曲ですね。僕が最初に聴いた時に、「なんじゃこりゃ⁈」と感じた曲は。
なんかずっと半音で伴奏が動いてて不気味だし、サンプリングされた音がいっぱいドカドカ鳴っているし。

そして、なんといってもボーカルのSusanneの叫び声が怖いです。「Ah!」ってずっと叫んでるし。

と、思ってたら突然明るいシンセサイザーのメロディで終わるしで。最初聴いた時、何が起こったのか分からなくて頭が混乱しました。正直、ヤバいバンドを見つけてしまったと思いました。

Eye to eye stand winners and losers
勝者と敗者が目を合わせる
Hurt by envy, cut by greed
嫉妬に傷つき、強欲に切りつけられる
Face to face with their own disillusion
幻滅する自分と対面する
The scars of old romances still on their cheeks
古いロマンスの傷痕が未だに頬に残っている
And when blow by blow the passion dies sweet little death
そしてその一つ一つによって情熱が死んでいく
Just have been lies the memories of gone by time
過ぎ去った記憶はただ嘘をついている
Would still recall the lie
嘘がまた思い出される

The first cut won't hurt at all
最初に切りつけられた時は傷はつかない
The second only makes you wonder
2回目に切りつけられた時は不思議に思うだけ
The third will have you on your knees
3回目は膝の上に現れる
You start bleeding i start screaming
あなたは血を流し始め、私は叫ぶのだ

歌詞もなんか怖い。血を流し始めるとか言ってるし。歌詞も中々ヤバいですね。


『Duel』

Secret Wishの中で1番キャッチーかつ聴きやすい曲かと思います。PVのアジアンな感じが謎ですが笑

途中のピアノとシンセサイザーの掛け合いが非常に美しいです。

Eye to eye stand winners and losers
勝者と敗者が目を合わせる
Hurt by envy, cut by greed
嫉妬に傷つき、強欲に切りつけられる
Face to face with their own disillusion
幻滅する自分と対面する
The scars of old romances still on their cheeks
古いロマンスの傷痕が未だに頬に残っている
And when blow by blow the passion dies sweet little death
そしてその一つ一つによって情熱が死んでいく
Just have been lies the memories of gone by time
過ぎ去った記憶はただ嘘をついている
Would still recall the lie
嘘がまた思い出される

The first cut won't hurt at all
最初に切りつけられた時は傷はつかない
The second only makes you wonder
2回目に切りつけられた時は不思議に思うだけ
The third will have you on your knees
3回目は膝の上に現れる
You start bleeding i start screaming
あなたは血を流し始め、私は叫ぶのだ

あ、あれ?なんか既視感が…

これ、『Jewel』の歌詞と同じじゃん!

違う曲なのに同じ歌詞とは前代未聞ですね笑
でも、同じ歌詞なのにメロディが変わると全然違う曲に聴こえるのが不思議です。

と、思ったか?

実はよくよく聴いてみると、メロディも『Jewel』も同じなんですよね笑『Jewel』は伴奏が半音でおどろおどろしく動いているので分かりにくいのですが、同じなんですよ。いや本当に凄いですね、このバンド。


『P-Machinery』

PVが怖すぎる!操り人形みたいにぶらぶらしてるし!メロディも重々しく、不気味さを感じます。

Motor
モーター
Power - force - motion - drive
動力-力-動作-運転
Power - force - motion - drive
動力-力-動作-運転
Power - force - motion - drive
動力-力-動作-運転
Power - force - motion - drive
動力-力-動作-運転
Propaganda
プロパガンダ

On joyless lanes we walk in lines
楽しくないレーンの上で私達は列をなして動く
A calm but steady flow
静かにしかし着実に流れる
Accompanied by loud commands
言われた指示に従って
Our strength is running low
私達は無力だ

Another hope feeds another dream
誰かの望みはまた他の誰かの夢の糧となり
Another truth installed by the machine
誰かの真実が機械によってインストールされる
A secret wish the marrying of lies
秘密の願い、嘘の結婚
Today comes true what common sense denies
常識によって否定されていたことが今日実現します

すごいディストピアな世界観です。George Orwellの『1984年』に通ずるものを感じます。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)


『Dr. Mabuse』

Propagandaの真骨頂です。様々な効果音をベースに繰り返し歌われるフレーズが幻想的な世界観を作り出しています。音の引き出しが多く、一回聴いただけだと中々理解できないです。ですが聴くたびに新しい発見があり、中毒性のある曲です。

それにしてもPVが怖すぎる!!(2回目)
ディストピアの次はオカルトかよ!

おどろおどろしいメロディと同様に、歌詞も不気味です。

Why does it hurt when my heart misses the beat?
何故心臓が止まると痛くなるの?

The man without shadow promises you the world
影のないその男はあなたに世界を約束します
Tell him your dreams and fanatical needs
彼にあなたの夢と熱烈な望みを伝えて下さい
He's buying them all with cash
彼は全てをお金で買ってくれます

Sell him your soul - sell him your soul - sell him your soul
彼はあなたの魂を売る-彼はあなたの魂を売る-彼はあなたの魂を売る
Never look back - never look back
振り返るな-振り返るな-振り返るな
Sell him your soul - sell him your soul
彼はあなたの魂を売る-彼はあなたの魂を売る
Never look back
Never look back - never look back
振り返るな-振り返るな-振り返るな
Sell him your soul
彼はあなたの魂を売る

とってもホラーです。こんなものを曲にしてしまうPropagandaはヤバいバンドです。

Dr Mabuse: Gambler/ [Blu-ray]

Dr Mabuse: Gambler/ [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/09/13
  • メディア: Blu-ray

このタイトルにあるDr. Mabuseというのは、ドイツ映画の『Dr. Mabuse』に登場するキャラクターを指しています。Dr. Mabuseは変装と催眠術に長け、その力をもって周囲の人々から金品を巻き上げ、殺めようとします。そんな博士の恐ろしさがこの曲では表現されています。

そういえば、この曲は別バージョンのPVもあります。こっちはメンバーが演奏している映像ですね。こっちもちょっと怖い。

リミックスも

Wishful Thinking Deluxe

Wishful Thinking Deluxe

  • アーティスト:Propaganda
  • 発売日: 2012/06/15
  • メディア: CD

これらの曲をリミックスした『Wishful Thinking』というアルバムもあるので、こちらもおすすめです。

実はこのアルバムのほかに、『1234』というアルバムがあります。ですが、メンバーの入れ替わりとともに音楽性も大きく変わっていることから、全く別バンドのものとして考えた方が良いでしょう。今回ご紹介するアルバムは『Secret Wish』だけですが、興味のある方は是非チェックしてみて下さい。