極!!モーツァルト塾

自称サックス吹きが音楽について色々と語ります。洋楽多めです。

パーシー・グレインジャーの曲を紹介していく#1『リーンカーンシャーの花束(Lincolnshire Posy)』

こんにちは。

最近クラシック曲がマイブームです。
ロックの曲が聴きたくなったりすることもあれば、クラシックの曲を無性に聴きたくなる瞬間もあったりと節操が無いです…。

今日はその中でも、パーシー・グレインジャー(Percy Grainger)という作曲家の曲をご紹介したいと思います。

民俗音楽のスペシャリスト

グレインジャーは作曲家の中でもややマニアックな部類かもしれませんが、ウインドオーケストラのための曲を多く作曲しているのでもしかしたら吹奏楽に詳しい方であれば耳にしたことがあることがあるかもしれません。

見出しの通り、グレインジャーはその地方に根差した民謡などの民俗音楽にインスパイアされた曲を多く作っています。かのエジソンが発明した蝋管蓄音機を用いて、イングランドの各地を回ったりと精力的な活動を行なっていたようです。オーストラリア人作曲家というのも中々珍しいですね。

「リーンカーンシャーの花束」〜イングランド民謡をもとにした組曲

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今回はその中でも、「リーンカーンシャーの花束」という曲をご紹介したいと思います。

この曲はイングランドリンカーンシャー地方に伝わる民謡の内6曲をもとに、ウインドオーケストラのための組曲として1937年に作曲されました。

民俗音楽特有の不思議なリズムがグレインジャーの手によって躍動感のあるオーケストラへと昇華されています。

第1曲『リスボン(船乗りの歌)』
軽快なリズムから始まる第1曲です。冒頭のトランペットとファゴットの旋律は復調と言って、異なる調が1つの曲で用いられています。これが不思議な雰囲気を醸し出しています。

第2曲『ホークストウ農場(守銭奴とその召使い:地方の悲劇)』
静かに雰囲気から始まり、徐々に盛り上がりを見せるドラマチックな曲です。途中のトランペットのソロが美しいです。

第3曲『ラフォード公園の密猟者(密猟の歌)』
冒頭の木管楽器による輪唱のようなメロディから徐々に低音域の重厚な音が重なっていき、また冒頭のメロディが奏でられる「緩・急・緩」の構成となっています。

様々な楽器が様々なリズムの音を奏でている非常に複雑な曲です。


第4曲『元気な若い水夫(恋人と結婚するために帰郷)』
第3曲と比べると明快で分かりやすいリズムの曲です。同じメロディを様々な楽器がかわるがわる奏でていますが、それに伴って伴奏のリズムも変わるのが面白いですね。


第5曲『メルボルン卿(戦いの歌)』
この曲の冒頭はなんと小節がありません(笑)
なんだか普通の曲と違う不思議なリズムです。
民俗音楽の面白い所は、こういった常識に囚われないリズムだと思います。


第6曲『行方不明のお嬢さんが見つかった(踊りの歌)』
最後を飾る、3拍子の舞曲風の曲です。この曲も、同じメロディが様々な楽器によってかわるがわる奏でられています。段々と厚みが増していく、クライマックスにふさわしい1曲です。