パーシー・グレインジャーの曲を紹介していく#3『植民地の歌(Colonial Song)』
こんにちは。
今日はグレインジャーの『植民地の歌(C olonial Song)』という曲をご紹介したいと思います。
祖国の情景
グレインジャーの曲は結構タイトル通りのモチーフの曲が多いです。この曲のタイトルにある"植民地"もまさにその通りで、これはグレインジャーの祖国であるオーストラリアを指しています。グレインジャーが活躍した1900年代初頭はオーストラリア連邦が成立してまだ間もない頃ですから、"イギリスの植民地としてのオーストラリア"という意識がまだ強かった時代です。
そんな時代背景の中、国民楽派の1人であるグリーグをリスペクトしていたことからもあり、思想としてこうしたその地域に根差した音楽を作ろうとする姿勢に前向きであったたことが伺えます。
この曲は祖国に住む家族へ当てられたものなのですが、グレインジャーはしばしばこうした曲を作曲しております(岸辺のモリーなど)。それまでの音楽はドイツやイタリアなどの地域が活動の中心でしたから、オーストラリア人であるグレインジャーにとって色々思う所があったのかもしれません。
この『植民地の歌』はそんなグレインジャーの故郷への情景が表現された一曲だと感じます。
荘厳なストリングスのオケ版、サックスとトランペットのソロが美しいウインド版
この曲も例に漏れず、様々な版が存在します。同じ曲でも調や編成の違いで聴こえ方が違ってくるのが面白いですね。
『オーケストラ版』
中低音のストリングスがやや重い雰囲気を醸し出しています。やはり弦楽器が入ると音の厚みが増すので、荘厳な雰囲気がありますね。こちらの版ではどちらかというと木管楽器が目立っています。
『ウインド版』
オケ版と異なり、金管楽器が目立っています。途中から始まるサックスとトランペットのソロが美しいです。ウインドの編成だと弦楽器がほとんど無いため、響きを持たせるために金管楽器を目立たせているのが特徴です。なのでファンファーレのような雰囲気があってこれもまた面白いです。