極!!モーツァルト塾

自称サックス吹きが音楽について色々と語ります。洋楽多めです。

今更アーティスト紹介 #2 中期XTC編

前回、初期XTCについて紹介させていただきました。初めてアーティスト紹介のブログを書いたのですが、中々楽しいですねこれ笑

さて、徐々にスタジアムバンドとしての地位を築き上げつつあるXTC。しかし一方で、バンドとしての大きな転換が訪れます。その中期はまさに激動の時代とも呼べるでしょう。この時期は音楽性の変化もさることながら、Andy Partridgeの頑固オヤジっぷりがいよいよ本性を現します。今回はそんなXTC中期を見ていきましょう。

Black Sea〜スタジアムバンドとしての最高傑作〜

Black Sea

Black Sea

  • アーティスト:Xtc
  • 発売日: 2017/11/24
  • メディア: CD

第4作目です。ジャケットが謎です。本作は、当時ツアーなどを精力的に行っていたこともあってか、生演奏を意識した音作りとなっております。なので、王道のギターバンドに近いスタイル音楽であり、XTCの中では比較的聴きやすい部類ではないかと思われます。
とはいえ、XTC特有の捻くれた音楽性が随所に散りばめられているため、ロックバンドの曲として聴いてみるとどこか異質なものを感じさせられることは間違いありません。

特に僕が好きな曲はこの『Towers Of London』です。

牧歌的なでありながら、どこか哀愁を感じるメロディのバックで奏でられる鐘の音がいい味を醸し出しております。

しかしながら、このアルバムをリリースした1980年にボーカルのAndy Partridgeがライブ恐怖症を発症し、以後、XTCはポップミュージックを手掛けるスタジオバンドとして、華麗なる転身を遂げるのです。

ENGLISH SETTLEMENT〜XTC、覚醒〜

ENGLISH SETTLEMENT

ENGLISH SETTLEMENT

  • アーティスト:XTC
  • 発売日: 2017/05/05
  • メディア: CD
第5作目、スタジアムバンドからスタジオバンドへと変貌したXTCの記念すべきアルバムです。

僕はこのアルバムが一番好きで、まさに極上のポップミュージックであると考えています。
まず一曲目の『Runaways』

この曲は、ベーシストのColin Mouldingによるものですが、まずイントロが異様。曲がふつふつとわき上がったかと思うと、ドラムの不思議なリズムとバックで奏でられるギターリフがおどろおどろしい雰囲気を醸し出しています。前作までのギターバンドらしさは若干残っているものの、どこか厭世的というか全体的に暗い雰囲気が漂っています。

こちらは6曲目の『Yacht Dance』


この曲はAndy Partridgeによるものです。6/8拍子のリズムで奏でられるアコギと、裏で刻まれるドラムの掛け合いが美しいですが、あまりにも不思議な旋律なので、XTCがロックバンドであったことを全く忘れてしまうような一曲です。この曲もそうなのですが、全体的にリズミカルな曲が多く、聴いていて飽きません。

こちらは9曲目の『It's Nearly Africa』

もはや謎ですね。謎のアフリカ"風"ミュージック。ジャングルにいるような気分にさせられます。なんでこんな曲を作ったんだろう、という気にさせられますが、こういった謎曲を作ってしまうXTCのチャレンジ精神に脱帽します。最早ロックバンドの曲ではありませんが、このアルバム以後こういった趣向の曲がどんどん増えていきます。

Mummer〜幻想的ポップミュージック〜

Mummer

Mummer

  • アーティスト:Xtc
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: CD
第6作。ピコピコのシンセサイザーが散りばめられており、また全体的にスローテンポでアンビエントな曲が多いため、それが幻想的な雰囲気を作り出しております。
実験的な曲が多いからか、XTCのアルバムの中では評価が低いアルバムです。正直、全く売れ線を狙っていないものばかりなのですが、そんなものを全く気にしないゴーイングマイウェイっぷりこそがXTCの真骨頂です。

2曲目の『Wonderland』

Colin Mouldingによる曲です。まさにワンダーランドというタイトルにふさわしい、幻想的な曲です。このアルバムの特徴であるピコピコポップを体現している曲です。
Andyの曲は捻くれているというか、全体的にテクニックで魅せるタイプの曲が多いのですが、Colinは美メロで魅せるタイプの曲が多いですね。BeatlesでいうところのJohn LennonPaul McCartneyのような関係とも言えます。

4曲目の『Great Fire』

Andy Partridgeによる至高の謎曲。三拍子で始まったかと思えば、唐突に四拍子のマーチ風のフレーズが始まる捻くれポップが炸裂します。それにしても、Andyってなんで三拍子の曲が多いんでしょうか?ロックの曲は四拍子の曲が多いですが、やっぱりロックが嫌いなんじゃ…笑

The Big Express〜頑固オヤジ、吠える〜

Big Express

Big Express

  • アーティスト:Xtc
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: CD

第7作。前作とは打って変わって、ドラムとAndyが吠えまくる攻撃的な一作です。多分、売れ線じゃない曲を咎められて、ロックっぽい曲を目指した結果なのだと勝手に妄想しておりますが、それに対してAndyの捻くれポップが全てを打ち壊します。王道ロックと捻くれポップの融合、それが本作なのだと思います。

1曲目の『Wake Up』 

Colin Moulding作曲。いきなり二拍三連の謎ギターリフが始まったかと思うと、Andyの謎ヒップホップ調の歌が始まります。とにかく複雑なリズムとゴリゴリのアレンジで言葉で説明しづらいので、聴いた方が早いと思います。

3曲目の『Shake you donkey up』

Andy Partridge作曲。
な、なんかいきなり牧場っぽい曲始まった〜笑
Andyが吠えに吠えまくる一曲。力強いドラムとAndyの吠えの後ろで呑気なマキバオーっぽい曲が奏でられているのが非常にシュールです。まさに"ポップ"ミュージックですね。

この時期のXTCはAndyが暴走しまくってて、記事を書くにあたりどう表現したらいいのか…非常に悩みました笑
さて、次回はこれらのめちゃくちゃな試行錯誤を経ながら、至高のポップミュージックメイカーへと進化を遂げる、後期XTCをお届けしたいと思います。

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