読書感想文「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」著:Lewis Dartnell
※この記事は、以前のブログにて掲載していたものを加筆、訂正したものになります。
目次
- ポストアポカリプス〜現代文明が滅びたあとの世界〜
- 大崩壊後は水と食料が世界を制する‼︎モヒカン頭の悪党が闊歩する世紀末の世界
- 日本が水に困らないのは山があるから
- 石油が無いと成り立たない現代の農業
- 本書から得たこと
ポストアポカリプス〜現代文明が滅びたあとの世界〜
いきなりどうでもいい話ですが、最近Falloutというゲームにハマっています。
どのようなゲームかというと、核戦争で文明が崩壊した世界を、主人公がサバイバルしながら世界を救ったり、悪に染まったりするゲームです。映画でいうと「マッドマックス」、漫画ならば「北斗の拳」のような世界観でしょうか。
そう、あのモヒカン頭の悪党が闊歩し、食糧と奴隷を片手に世界を牛耳っているような世界です。
今回のテーマはそのような「文明が滅びたあとの世界で、人類が生き延びるにはどうすればいいか」です。
大崩壊後に人類が生き延びるための百科事典
本書の特徴として、文明が崩壊した後の人類が文明を復興させるにあたり、何をすべきかが百科事典のように網羅されています。
ページの後半につれ、第一次産業〜第三次産業といった高度な話になるため、後半の話は少し難しくなります。
なので、今回は本書で私が気になった箇所についてレビューしたいとおもいます。
大崩壊後は水と食料が世界を制する‼︎モヒカン頭の悪党が闊歩する世紀末の世界
世界が滅びたあとに、人類が生き延びるために一番重要なものは何でしょうか?
はい、水と食料ですね。北斗の拳でも、水と食料を支配している奴 = エライ!みたいな構図がありますもんね。
では、なぜ文明が崩壊すると水と食料は貴重になるのでしょうか?現代人の我々にとってみればコンビニやスーパーに行けば、当たり前のように水と食料は手に入るのに…
実は現代人たる我々は水と食料を効率的に作り出すために、科学技術というツールを用いているのです。しかし、その科学技術は文明が崩壊したあとの世界では、すぐに取り戻すことができなくなるのです。
したがって、水と食料を作り出すことが出来なくなった人類が手っ取り早くそれらを手に入れるための手段は…そう、「略奪」です。椅子取りゲームのように、パイが少なくなるなら、他人から奪うというのが手っ取り早い方法になります。なので、北斗の拳のモヒカン頭はある意味大崩壊後に、ありふれた存在になるのかもしれません。。
日本が水に困らないのは山があるから
日本で普通に暮らしていると水っていくらでも飲めますよね?特に、水道水が飲めないなんて話はあまり聞きません。何故か?それは日本は"山"が巨大な貯水施設になっているからです。
つまるところダムですね。ただ、ダムという施設が存在しうるのは水の流れがある必要がある訳なので、ただの平地では不可能です。日本にある山は雨水を吸収し、それを平地へと流しているのです。その上で、ダムは人間が使いたいだけの水の流れをコントロールしているわけですね。
本書ではそうでない、ただの水たまりの泥水など不純物の混じった水を、どのようにして飲み水にするかが書かれています。具体的には、天然の砂利や砂を使ったろ過法などが紹介されております。また、漂白剤や太陽光などを使った殺菌方法なども紹介されており、現代人が飲み水を一から作るのがいかに難しいかを物語っております。
石油が無いと成り立たない現代の農業
食料はどうするか?当然作る人がいなければ食料は減る一方なので、食料を作り出す必要があります。なれば、皆が農作業のように食料を作り出り始めれば良いのか?実はそれだけでは十分でないようです。
農業というのは、基本的にに人間の食料を得るために行う行為です。なので、人間が食料を得た分自然と土地からは栄養が無くなってゆきます。では、現代ではどのようにしているかというと、工場などで機械を使って作物を育てるための栄養素を機械によって大量に作り出し、農地に蒔くことで栄養を補給しているのです。機械には基本的に動力が必要で、その燃料は石油で成り立っております。
また、農作物を効率よく刈り取るために、トラクターのような機械も必要なようです。そして機械の原動力は基本的に石油を使っています。
つまり科学技術が失われれば、私達が当たり前のように食べている食物は簡単に手に入らなくなるということです。
本書は農業と工業の相互依存、そして今人間が栽培している作物の種がいかに人間に依存しているかを浮き彫りにしています。
本書から得たこと
正直、今生きる分にはあまり役に立たないことが書いてあります。こんなものを読むくらいならプログラミングの勉強でもした方がマシなように思えます。
しかし、何故食べ物や飲み物が手に入るのか?そんな当たり前について深く考える機会はあまりありません。今ではスマホで簡単に買い物が出来ますが、それも科学技術の上に成り立っているのですね。
当たり前の前提には実は高度な技術が存在して、その技術は大崩壊ですぐに失われる。深いテーマです。