極!!モーツァルト塾

自称サックス吹きが音楽について色々と語ります。洋楽多めです。

Stingの世界 『Englishman in New York』

こんにちは。

マチュアのサックス吹きがStingをオススメするようです。

アメリカに生きる一人のイギリス人の苦悩

今回は、Stingの『English Man in Newyork』という曲をご紹介したいと思います。まずは曲を聴いてみて下さい。

この曲は、かつて1970年代から1980年代に活躍した、Policeというバンドに所属していたStingが作曲したもので、Police解散後の1987年に発表された『Nothing Like the Sun』というアルバムに収録されている曲です。

イングリッシュマン・イン・ニューヨーク

イングリッシュマン・イン・ニューヨーク


歌詞の一部を見てみましょう。

If, “Manners maketh man” as someone said ※02
(もし、誰かが言ったように「礼節が人を作る」というのなら)
Then he’s the hero of the day
(彼は今日の英雄である)
It takes a man to suffer ignorance and smile ※03
(英国紳士なら無知に耐え、笑顔をつくりなさい)
Be yourself no matter what they say
(誰が何を言われようが、自分らしくいることだ)
I’m an alien I’m a legal alien
(私は外から来た者、合法的な外国人である)
I’m an Englishman in New York
(私はニューヨークに住む英国人なんだ)

下記サイト様より引用

曲中の"English Man"とは誰なのか?ということについてですが、これはPVに登場するQuentin Crisp本人であるとのことです。CrispはLGBTの概念がまだそれほど浸透していなかった当時のアメリカにおいて、自身のセクシャリティを公にしながら活動する作家、俳優の一人でした。Stingはその姿に感銘を受け、この曲を作曲するに至ったそうです。
この曲は、自身のセクシャリティとそれに対する周囲の目に葛藤しながらも、異国の地で自分らしく生きる一人のイギリス人のために書かれた曲なのです。

ソプラノサックスによる美しいソロ

一方で、曲のメロディも哀愁を感じさせながらも美しいものに仕上がっております。
特に素晴らしいのが冒頭と曲の中盤で奏でられるソプラノサックスのソロですよ!これがもうタマラナイ。
Stingの淡い歌声と、裏で奏でられるサックスの泣きが絶妙にマッチしており、これがものすごく心に突き刺さる。

僕はテナーサックス一筋の人間ですが、この曲をやりたいがためにソプラノサックスを買おうかと思い悩んでいます笑。

このように、『English Man in New York』は全体的にサックスによるjazzyな雰囲気の漂う一曲となっております。Stingはかつてのアマチュア時代にジャズやビックバンドでの活動を行なっていたようで※1、そうした背景がこの曲のjazzyな作風として現れているのかもしれません。

※1.参考文献

昔の洋楽を聴いてみると、こうしたサックスが用いられている曲が多いような気がするのですが、最近は中々そうした曲が見つからず、寂しい限りです。

サックスによるアンサンブルも!

この曲はサックスが全面的に用いられていることもあり、それ単体でも非常に完成度の高いものとなっております。また、YouTubeでも数多くのアレンジが掲載されています。

僕がおすすめしたいのがこちらの
"HIBI★Chazz-K"による、アンサンブルアレンジです。

HIBI★Chazz-Kはソプラノサックス奏者のひび則彦氏を中心とするジャズバンドで、スタンダードなジャズナンバーから様々なポップソングのアレンジなど幅広く手掛けながら活動をしております。

特にこの『English Man in New York』のアレンジが秀逸で、ソプラノサックスによるソロもさることながら、メロディラインをアルトサックスとテナーサックス、リズム隊バリトンサックスとドラムにて置き換えることにより、原曲よりもサックスのグルーヴ感を感じさせる構成となっております。
またそれだけではなく、ひび氏による迫真のアドリブも披露されており、まさしく"ジャズ"としての一曲へと昇華されているのではないでしょうか?
こういったポップミュージックのジャズアレンジは、原曲からかけ離れてよく分からなくなるということがしばしばありますが、この『English man in New York』については、元々の曲がjazzyな雰囲気を持つことから、その雰囲気を損なうことなく自然なアレンジになっていると感じます。

最後に

Stingはこの曲の他にも、ジャズの影響を受けたと思われる数々の曲が存在します。どれもサックスの色気が感じられる曲ばかりです。

『Sister Moon』

『Moon Over Bourbon Street』


ジャズなどが好きな方は是非、Stingの他の曲も聴いてみて下さい。